雨の日に遊ぼう!! 高等部二年生の段



 二限目開始時刻。
 休憩をとった殆どの生徒が教室へと戻ってくる。
 中等部、高等部共に全部の学年が自習と言う事もあり、図書室へ行った生徒や、三年生に勉強を教わりにった生徒がまだ帰って来てはいないが、自習はそのまま続行。
 それぞれが席に付き、黙々と勉学に勤しむ。
 他のクラスはどうか知らないが、高等部二年A組は誰しもが真面目に取り組んでいた。
 来る、三年生の授業と卒業の後進路へ向けて。
「……兵助、兵助」
「ん? 何、勘ちゃん」
 席が後ろ前と言う事で、久々知は後ろの席へ座る尾浜に振り返る。
「さっきさ、二年生の三次郎が友達と笑って戯れてたんだけど、あいつ、あんな顔するんだな」
「え? 池田が? へぇ、珍しい事もあるもんだ」
 三次郎とは管理委員会で一緒の久々知。
 いつもぶっきらぼうな後輩が、友と仲良くしていることが嫌な筈ない。だから、自然と笑みがこぼれた。
「俺達も、つるんでたよねー」
「そうだね。ある意味中等部の方が楽だったかも」
 考えてみれば、中等部の頃は今のように勉強に対してがっついていなかった気はする。
 毎日バカみたいな事で笑って、当たり前のように次の日が来ると思っていたあの頃。
 進路に対する不安なんて、このエスカレーター式の学校では皆無だった。
「あの頃に戻れたらねー」
「そうですな。私もその頃の皆さんにお会いしたかったです。きっと可愛かったでしょうに」
「「!?」」
 いきなり足元から声がしたもんだから、久々知は後ろに仰け反る。
さん!?」
「ヘロー。お二人さん」
 体育座りをするかのようにこじんまりとがそこには座っていた。
 防災訓練をする小学生のように久々知の机の下にもぐりこんでいる。。
「い、いつからいたの!? てか、どうやって入ったの!?」
「久々知君が後ろへ振り返ってすぐ入りました。友人がA組の子に質問があるとかでひっついて来た次第です」
 が指さす方向には確かにの友人の姿あった。
 勉強を三年に聞きに行く子もいれば、こうして頭の良いA組に行く人もいる。
 だから、何ら不思議はなかった。
「本気で驚いた。もしかして君も勉強教わりに来たの?」
「あ、いいえ。単に身を潜めているだけです」
「潜める? 何から?」
 久々知が首を傾げた。その時、ふと廊下に目をやると二年生校舎には不似合いな人物が歩いてる。
 その姿を見て、数人の女子がため息を漏らしていた。
「立花先輩だ」
「…………」
 尾浜の言葉にの顔が意気消沈する。
 これを見て、久々知は察知した。
「えっと……逃げてる相手ってもしかして立花先輩?」
「イエース。ザッツライト」
 あぁ、なるほど。確かにそれは逃げたくもなると心の中で頷く久々知。
 自分だって理由はいかにせよ立花に追いかけられるのは嫌だ。
 そして、自分以上にはそれを嫌がっている。だから、こんな所に隠れているのか。
「立花せんぱーい。どうかしたんですか? 先輩のような人が二年の階に来るなんて」
「尾浜か? いや、一匹小動物を探していてな。どこかで見なかったか?」
「小動物ですか? は! また飼育小屋から何か逃げ出したとか!?」
「いや、飼育が飼っている動物ほど小さくはない。まぁ、確かに小さいが……そうだな……食べ物が好きな奴だ。基本、いつも食い物を持ち歩いている」
 久々知は首にじっとりと汗をかく。
 別に自分の事ではないのに、なぜか自分が追い詰められているような気がして。
「久々知は知らないか? お前達といつも一緒にいる小動物を」
「さぁ……今日は見てないですね。教室にはいなかったんですか?」
「あいつの教室は三人ほど女子が残っているだけだった。一応許可を得て探したのだがどこにも見当たらなくてな」
「そうですか……じゃ、伊作先輩の所とか。もしくは三年の三反田君の所とか」
「そうか。あいつはその二人に懐いていたな。うむ。行ってみよう。世話になった」
 幸いにも立花は廊下から教室に入らなかったおかげでは見つからずすんだ。
 今ほど、空気が美味しいと思った事はなかっただろう。それだけ息を止めていたのだ。
「はぁ……変な汗かいた。てか、勘ちゃん。なんで立花先輩わざわざ呼んだの? もしかしたらさん、見つかってたかもしれないよ? 俺達の会話聞こえてたでしょ?」
「だから呼んだの。まさか、そんなにそばにいるとは立花先輩も思わないでしょ?」
 にへらと笑って机に顎をつける尾浜。その姿には怒って良いのか、感謝していいのか分からなかった。
「ここから立花先輩に姿が見えなかったのが奇跡だと思うよ。本当」
「確かに。こっち見てた割には気付かなかったよね。立花先輩ともあろう方が」
 廊下際に席があったのが良かったのか、立花の位置からは丁度久々知の机が見えなかったのだろう。
「後はそれじゃない? 兵助の机の脇のジャージ。それが良い感じに隠してたんだと思うよ」
「あ、なるほどね。朝来る時に濡れたから乾かしてたのが幸いだったか」
 いつもはこんなだらしない事はしない。
 ちゃんと畳んでジャージは更衣室に置いてあるかカバンに入れてある。でも今日は違った。カバンが濡れてしまったため、ジャージも濡れてこんな場所でしか乾かせなかったのだ。
 まさかそれが良い方向に働くなんて。
「とりあえず大丈夫? さん。何で立花先輩から逃げてるかは知らないけど」
「おや? 理由、お気づきになりませんでしたか? お二方」
 は確実に立花の気配が消えたのを確認して机から這い出す。
 そして立ち上がった姿に尾浜と久々知は絶句。
「それ、中等部の制服だよね?」
 思わず分かり切った質問をしてしまう久々知には笑う。
「そうです。私は全く着た事がない中等部の女子制服です」
 ひらりとその姿を見せるようには二人の前で回った。
 その姿にA組全体がざわめく。
「どうしてさんがそれを着てるの?」
 尾浜が不思議そうに制服を指さす。
「いやー、ちょっと風紀委員の方の策略にはまりまして、これしか着る物がないんですよ。そして、この姿を写真に撮ろうとする立花先輩と綾部君から逃げてるわけなんですが」
 風紀委員の策略と言う言葉でA組はシーンとなった。
 だてに五年もこの学校にいるわけではない。風紀の策略と言うものがどれだけ怖いか知っているから自然と言葉が出なくなった。
 憐れみと関わり合いになりたくないと言う気持ちで。
「と言うわけで、また別の場所に移らねば。同じ場所にいるのは危険なので」
「あ、じゃぁ八のクラスは? 立花先輩もそっちにいるとは思わないでしょ?」
「お、ならばそちらに行きましょうか。提案をありがとう、尾浜君」
 ぺこりとお辞儀をして、は一緒に来ていた友人に声をかけた。
 自分は隣の教室に行くと。
 それを聞いて、尾浜も立ち上がる。
「あれ? 勘ちゃんも行くの?」
「うん。ちょうど雷蔵に本返すの頼もうと思ってたし。それに、三郎にからかわれるだろうから」
「あー確かにね。そうなるとさん可哀そうだし。俺も行こうかな」
 こうして二人もB組の教室へと足を運んだ。



「うわー! ちゃん、似合う!」
 オブラートに隠すことなく、本心で誉める声。
 確認せずともわかる。これは雷蔵だ。
「ありがとう雷蔵君。でも、あんまり嬉しくないよ」
「だよなー。俺も中等部の制服が似合うって言われたら落ち込むもん。成長してないのかなーって」
 の肩をぽんと叩いて慰める竹谷。今はこの慰めすらにとっていらないものだろう。
「でも、立花先輩も面白い事考えたよね。いたずらに関しては本当、凄いよあの人」
「三郎、真似しちゃだめだからね? あと、さり気なくちゃんの写真撮ろうとするのも禁止!」
「ちっ。ばれたか」
 瞬間、三郎がから回し蹴りを食らう。
 それを見ながら、久々知と尾浜はB組の扉をくぐった。
「やっぱりね。追いかけてきて正解」
「兵助、追いかけてきて正解って?」
「そのままの意味だよ、三郎。ね、勘ちゃん」
「そうそう。絶対にさんを三郎がからかうだろうから追いかけてきたんだよ」
 私って信用ないーと言って、三郎はその辺のいすに腰掛ける。
 気付けばB組も殆ど人がいない。
「お二人とも、ご心配ありがとうございます」
「別に気にしなくて良いよ。悪いのは三郎だし。でも、ここもまずいね」
 久々知が口元に手を当て考え込む。
 何かまずいのだろうか?
「あー、あれでしょ? 思った以上に人数少ないからここもばれるんじゃないかってこと。だよね、兵助」
 尾浜も同じことを考えていたらしく、頷く兵助。
「なんと!? 早速移動せねばならないのですか?」
「流石にそれは可哀そうだな。話によるとさっきまで逃げ回ってたんだろ?」
「はい……少し休憩したいと思ったんですが」
 しょんぼりとらしくないような顔で落ち込む様子のに竹谷は慌てて頭を撫でる。
「だ、打開策がないわけじゃないんだし、な、な? 落ち込むな」
「竹谷君、今日に限ってなぜ頭を撫でる? いつもフォローは言葉だけだったような気がするんですが」
「おわ! なんか腕が勝手に動いてた! ……なんか中等部を泣かせてるような感覚があったんだよな。俺の委員会で言う孫次郎が泣いてるみたいな」
「あ、わかる。僕も久作君がしょんぼりしてる感じがした」
「なーんか、調子狂うよね。私もその意見に賛成」
 B組はを囲み、うんうんと頷く。
「……それは遠回しに私が中等部扱いされていると言う事でよろしいのでしょうか?」
「あ、いや、別にそんなわけでは! そうだ、兵助! 勘ちゃん! なんか良い方法無い?」
 丸で逃げるようにして話をそらす竹谷に二人は目を丸くする。
「考えって言ったってなー……」
「あ、俺あるかも!」
 頭を悩ませる久々知とは打って変わって尾浜は何か良い策を持っている様子で、なぜか以外の男子を見回した。
「あー……やっぱり兵助かな?」
「え? 俺?」
「うん。お前が一番無難ぽい」
「ぶ、無難って……何が無難なんだよ?」
「それだよ、そ・れ」
 尾浜の指さす方には兵助の姿があり、あまつさえ細かく言えば彼の着ているベストを指していた。
「三郎は着てないし、八のはよれよれだろ? 雷蔵のじゃサイズ大きそうだから。だから、兵助のが一番良いかなって」
「だから?」
「兵助、頭良くてもこう言う時は頭働かないよね。それをさんが着ればいつもみたいな格好になるんじゃないかなって事」
「あ、そう言うことね」
 分かったと言って、久々知は早速ベストを脱いだ。
 こう言っては何だが、少し申し訳ないような、見ていてありがとうございますと言いたくなるようなシーンだったため、は思わず手を合わせる。
「ありがとうございます(色んな意味で)」
「良いよ。こう言う事はしょうがないしさ。やっぱり友達なら出来ることしたいと思うし」
 その笑顔は本当に優しくて、本当にありがたい気持ちになった
 優しい男の子ばかりで良かったとつくづく思う。
「さ、着てみて? 流石に少しサイズ大きいけど」
「借りられるならお借りします。……世の中の久々知君ファンのお嬢さん方。少しの間お借りします」
「そんなファンいないって!」
 ありえないありえないと手を振る久々知に他の四人の男子はため息をついた。
「……兵助が一番モテるのにね。なんで気付かないかな」
「あー、あいつは告白されても気づかなそう。てか、豆腐命でしょ?」
「雷蔵、三郎。聞こえてるよ」
 ぽんぽんと二人の頭を軽く拳骨する。こう言う事は気付くんだから。
 本当に世の中でこいつは天然で通っているのかと聞きたくなる。
「お前らさじゃれあうの良いけど放置するのはやめようぜ? ……俺ばっかりにコメント託すなよ」
 少し困った顔の竹谷が三人を見ていた。
 それを不思議に思い、三人はの方を見る。そして微妙な表情を浮かべた。

「あー……これは、」
「確かに、」
「コメントしずらい」
「だろ?」

 久々知、雷蔵、三郎、そして竹谷の順番で喋り、そして微妙な顔をした。
 ベスト着ている。それはまぁ、なんとも
「着せられてる感、めちゃくちゃあるよね」
「尾浜君、言わなくても分かるコメントをありがとう」
 少しぶかぶかのシャツを女子に着せるという行為。
 多分、大半の男子なら少しは邪な気持ちで夢見た事があるだろう。
 本当ならもそうなる筈だった。でも、そうならない。
 もう色気とかそんなレベルじゃなくて、本当に着せられているという感じ。
 まるで、小学生の妹がお父さんの服を無理して着た感じだ。
「何でお前は色気が出ないんだ」
「私にもそれを求める時点で間違いだと気づこう、三郎君」
「ま、そうだな。にしても、えらいダボダボ」
「本当、貸しておる俺が申し訳ないくらいに……てか、本当ごめん」
「いや、久々知君は何も悪くないさ。体格の小さい私が悪いのですから」
 逃げ言葉だとわかっていても、はこう言うしかなかった。
 たとえ身長が小さかろうが、色気のある子はある。
 だから身長のせいではない。自分と言う人間がそう見せるだけなんだから。
「でもさ、これはこれで立花先輩に目、つけられそうだよなー」
「だよ、ね? ある意味可愛いもん。小学生みたいでって! ちゃん! 首絞めるのは無し!!」
「締めているのではなく、雷蔵君の首にぶら下がっているだけです」
「それが締めてるって言うの!!」
 ぶらーんと自分の体をうまく使い、雷蔵の首にぶら下がっている
 その姿は本当に小学生のようだった。
「こ、これ着ない方がいいかもね。余計幼く見える」
「折角考えてくださったのに申し訳ない、尾浜君。そして久々知くんもすいません」
「あ、全然気にしてないから。でも、どうしようか? ここに長居するわけにもいかないし」
 久々知はからベストを受け取り、うーんと悩む。
 もうそろそろ立花先輩に捕まるのも時間の問題。どうしたもんか。
「……何をそんなに悩んでるんですか?」
「いやー、をどうやって逃がそうかと思って!」
 竹谷は自分が話しかけていた存在に気づき、言葉を失った。
 そこにいたのは次期風紀委員長綾部喜八郎。
 を追いかけているもう一人だ。
「んのぉぉぉぉぉ!!」
先輩、どうしたんですか? そんなに怯えて」
「ははは。会いたくない人物が不意に現れたら誰でもこうなるさ」
 さり気なく後ろへ後退して行くを、綾部はじりじりと追い詰める。
「探しましたよ。どこにもいないんですから」
「そのまま放置してくれていた方が有難かったかな?」
「残念ながらそうはいきません。目の前に面白いものがあるのに放っておくほど私は出来ていませんから」
「正面からおもちゃ扱いの発言ですか。しかしながら、私もそう簡単に君らの遊び相手をするわけにはいかんのだよ」
 飄々とした綾部に対しては少し笑みを浮かべる。どうやっても無理に笑っているように見えた。
「えっと、綾部君。ちゃんも嫌がってるからさ。止めてあげない? 写真取られたくない人だって世の中にはいるんだから」
先輩がそうだとは限りませんよ、不破先輩」
「私は好きだとも言ってないんですけどね」
 そのまま後退して行くと逃げ場所がないと思ったは側にいた尾浜の陰に隠れる。
「え!? 俺巻き込まれるの!?」
「大変申し訳ないですが、少しの間壁になっててください。尾浜君」
 綾部との間に挟まれた尾浜はどうどうと綾部を宥めるが効果なし。
 自分の世界に入ると、なかなか帰って来ないのが綾部と言う人だ。
「ちょっと、皆見てないで助けてよ!」
 気付けば尾浜の方が泣きそうな顔をしていた。
 しかし、は彼の上着を離さないし、綾部もから視線をうつさない。
 はっきり言って、
「「「「巻き込まれたくないから無理!」」」」
 そんな気持ちだった。
 だから満面の笑みで他の男子は事の次第を見送る。
「そ、そんな〜!!」
「あー、もう! 男がそんな悲鳴あげるんじゃないの! てか、男五人もいて一人守れないってどういう事よ!?」
 不意に気の強い声が教室に響いた。
 それはの友人の女子。この状態を見て少し怒っている様子。
「友人ー!!」
「ああ、そんなに怯えて。にしては珍しく弱気だ。全く! こら、綾部!」
「はい」
「女の子をここまで追い詰めるとはどういうつもりだ! 男なら引き際を考えろ!! ほら、行きな!」
「え? あ、うん」
 しっしとを教室の扉から出して、彼女を逃がす友人。
 それを見ていた綾部は追いかけようとしたのだが、
「おっと。友人を風紀委員のおもちゃに差し出すほど、アタシは甘くないわよ?」
 ここに女版番長が降臨なされた。
 その雄々しい姿と、不敵な笑いに思わず高校二年組は拍手する。
「あなたも先輩に似て、強情な方なんですね」
「類は友を呼ぶって言うでしょ?」
 むーっと膨れた綾部。
 友人に対してどう対処するのかと周りが見ていた時、彼は行動に出た。
「たとえあなたが先輩と似ていても興味ありません。じゃ、」
 入口を諦めて、廊下側の窓へと向き直り、片手をついてひょいっと窓を飛び越えた。
 その先にあるのは廊下。
「だーいせいこうー」
 しゅたっと降り立った彼はさよーならーと言っての後追いかけて行った。
「しくじった! まさかと同じような行動するとは!」
 彼を追いかけて廊下に出た友人だが、すでにその姿はどこにもなく彼女は落胆する。
「あの二人、なんだかんだ言って動きが似てるわ……」
 の無事をいるのだけしかできない自分に、少し落ち込みながら友人は窓枠に突っ伏す。
「それにしても綾部の探究心の旺盛さと、の逃げ方には圧倒されるよな」
「わかるわかる。あんな風に風紀委員から逃げきれてる人間も珍しいしね」
 竹谷と雷蔵がうんうんと頷く。
「さて、それじゃ俺たちは教室に帰ろう……」

「ま〜て〜お前ら……」

 尾浜の腕を引いて教室に帰ろうとした久々知の肩を般若(友人)が掴んでいた。
「女の子一人守れないってどういうことだ!! しかも、逃げさせる事も出来ないなど! お前ら全員纏めて性根叩きなおしてやる!!」
 こうして食堂メンバーは一人の少女に頭が上がらず、結局ニ時限目終了まで正座をさせられていたと言う。



「……、大丈夫かしら?」
(俺、足しびれてきた)
(八は相変わらず忍耐ないねー)
(そう言う雷蔵だってやばいんじゃいの)
(三郎、雷蔵からかうのやめてあげなよ)
(勘ちゃんもそう言いながら俺の足触らないでよ)

「五月蠅いわよ、役立たず!!」
「「「「「すみません……」」」」」



 このやり取り、もしかしたら他の教室まで響いていたのかもしれない。






作者より
二番目に逃げたのは同級生のところでした。意外に役に立たなかった(笑)
何気に友人は最強伝説です。ちっとは彼にらにも不憫になっていただきたかったのでこの話が誕生。
あと、大きめのベスト着せたかった。まぁ、色気とは皆無で(汗)次はどこへ行くのでしょう。
2010.6 竹中歩

←戻    進→