それは何の前触れも無く… 偶然と言うものが積み重なって… 今にいたり… きっとこれからも… 宝石を捜すような… 期待感で満たされるだろう… これは二つの宝石の出会いの序章に過ぎない… 原石 ある何でもない休日…コガネシティの一軒の家に電話の呼び出し音が鳴り響く。 「はい。もしもし。」 電話に出たのはこの家の主『センリ』。その業界では知らぬ人はいないと言われる凄腕のジムトレーナー。ちなみに顔も二枚目と言う物だから羨ましい限りである。 「≪久しぶりだな。オレだよ、オレ。≫」 「その声は…オダマキか?!久しぶりだな!」 電話の相手も業界では有名人の『オダマキ博士』この二人の友人関係は長く、お互い、性格や見た目は違えど何かしら意気投合する親友である。 「で、どうした?」 「≪おいおい、どうしたは無いだろう?友人に向かって。≫」 「お前から連絡が来るなんて珍しいと思ってな。研究に没頭すると平気で1年も連絡をよこさないから。大体、俺のほうからかけるだろう?」 「≪確かにそうだな。≫」 お互いその声は楽しそうで普段より高めの会話。 「で、用件はなんだ?」 「≪ああ、お前の所そろそろ生まれたんじゃないかと思ってな≫」 「覚えててくれたのか?」 「≪当たり前だろ?唯…出産予定日は聞いてたんだが、丁度派遣の時期と重なって、今漸く連絡を入れれたと言うわけさ≫」 「なるほどな。ああ、生まれたよ。こっちは男の子だ。お前の所もそろそろだろ?」 「≪良くぞ聞いてくれた!昨日生まれたんだよ!本当は昨日のうちに連絡を入れたかったんだが、出産予定日より早く生まれてしまってあたふたしてたんだ≫」 「せっかちな子供だな…てことはやっぱり同じ歳か。こっちの方が少し上だが…」 二人の会話は誰が見ても分かる。そう、先日生まれた『我が子』の話。 「それで?せっかちと言う事は男の子か?」 「≪いや、元気の良い女の子だ≫」 「お前に性格が似たらアバウトな子になりそうだな。」 「≪それくらい元気じゃないと今の世の中は生きていかれんよ≫」 「よく言う…」 「≪それで?お前の所の男の子はなんて名前にしたんだ?≫」 「ん?名前か?ちょっと面白くてな。生まれてきた子供…瞳の色が俺の色でもなく、妻の色でもない凄く綺麗な『緋色』だったんだ。だから、緋色の名前の宝石にちなんで………」 我が子の名前をセンリが口にしたとたんオダマキがテレビ電話の向こうで大笑いを始める。 「≪ぶわっはっはっはっは!≫」 「そこまで笑うほど面白くないと思うんだが…」 「≪いや、違うんだ。やはりお前と俺は本当に気が合うなと思っただけさ≫」 「どう言う事だ?」 「≪俺の方はさっき名前を付けたんだ。お前と同じ理由でな。≫」 「同じ理由?」 「≪瞳の色がな、俺たち二人どっちの色でもなくて凄く澄んだ蒼い瞳をしていたから…≫」 やはり、オダマキが我が子の名前を口にしたとたん、センリのほうも笑い出す。 「似た物同士だな。」 「≪だろ?…まぁ、そのうち遊びにきてくれ。娘と待ってるさ…≫」 「ああ。息子共々行かせてもらうよ。」 これが全ての始まり…… 数年後…… 「よく来たな!上れ上れ!」 「お前もその豪快さ、相変わらずだな!」 子供が生まれて早数年…電話だけでお互いの連絡をとっていたセンリはオダマキの家を訪れる。 「そっちがお前の子か…男の子にしては綺麗な顔立ちだな。」 「しかし、人見知りが激しくてな…ほら、こうやって直ぐに俺の後ろに隠れる」 センリの子供はセンリのズボンを必死に掴みオダマキに顔を見せようとはしない。 「オダマキ、お前の娘は?」 「それが…じっとするのが苦手な子で…多分庭にでもいるんだろう。」 「それじゃ、お前、庭で遊んでくると良い。近所に歳の近い子もいなかったし」 センリは息子を外へ連れて行き『此処で探しておいで』というと再び部屋にこもってオダマキと二人で和気藹々と話し始める。 「だから、来たくないって言ったのに…」 庭に転がる石をコロコロと足で遊ばせる男の子。父親譲りなのだろうか? 歳の割には顔のつくりが整っており綺麗だ。 「しかも、外なんかじゃよごれるじゃないか…」 よほど、来たくない状況を父親に引っ張ってこられたのだろう。顔が苦虫を噛み潰しているような状況。 「つっかまえたー♪」 その大きな声が少年の耳に届くのには時間はかからなかった。興味本位でその音の方向にある草むらへと首を突っ込む。 「あちゃもつかまえたー!!」 そこにいたのは少年と歳が変わらないくらいの少女。捕まえたアチャモとじゃれあっている。少年は先ほどの父の話からこの子がオダマキの娘だと安易に理解できた 「…あんた…だれと?」 「君…ここの子供だろ?」 「そうとよ?ああ!あんたとね!今日来るって言いよったお客さんは!」 さっきから笑顔しか見せない元気の良い子。本当に生きる事を楽しんでいる様子。 そして、この子もオダマキからお客さんがくることは聞いていたらしい。 「そんなことしてたらよごれるよ?」 「それくらい平気。だって、こうした方がたのしいけん!」 よごれる事など全く苦にしない少女。綺麗な物が好きな少年にとっては信じられないようだ。 「よごれるのって気持ち悪くない?」 「うーんと…遊んでるときはそうでもなかよ?」 「ぼくはよごれるのキライ。」 「んー…確かにあんまりよごれるときもちわるかね。でも、そんなことしよったら、ポケモンと遊べんけん。あたしはいいとおもうとよ。」 「かわってるね。君」 「あんたもかわっとるよ。へんなボウシばかぶっとるし。」 「そうかな…?…それ、君のポケモン?」 「ううん。この子は今家であずかってる子。あたし、ポケモンばつれてたびに出るのがゆめやけん。ぜったいそのときはあちゃもってきめとる!あんたは?みずごろう?きもり?」 「ぼくは…かっこいいポケモンがいい!!それか、かわいいの!!」 「あちゃもはかわいいし、しんかするとかっこいいとよ?でも、他のだったら…エネコとかポチエナとか…ポチエナはしんかするとグラエナになってかっこいいし」 「たしかに、ポチエナはいいかもしれない。」 「いつか、お互いでたたかってみたいとね。」 「ぼくは見せ合いっこのほうが良い!」 「それはあんたのゆめやね。」 「うん。でもさ、よごれるのへいきにしろかおはふいたほうがいいと思うよ?」 少年はポケットからハンカチを取り出すと少女のかおについた泥をぬぐう。 「ありがと。」 「どういたしまして。うん!こうやったほうがやっぱりきれいだよ。それにしても君の目…空みたいに青いね!」 「ありがと。あんたの目もお日様みたいに赤いとね?」 「ぼくの名前はお父さんが言ってた。目と同じ宝石の名前だって」 「あたしも似たようなこといわれた覚えると…」 「じゃぁ、二人とも宝石の名前なんだね!」 「いっしょやね!」 そのとき、家に帰るということを継げるセンリの声が少年の声に響く 「それじゃ、またね!」 「ばいばい!」 こうして…二人は初めてで会うことになる…… 更に進んで…現代… 「なんで君は会うたびそうやって破天荒な格好なんだ?」 「あたしだって好きでこうなったんじゃないと!ただ、公園でポケモンの泥かけにあっただけたい。」 そう言ってサファイアはルビーから視線をそらす。 「顔くらいはふいたほうが良いと思うよ?」 「顔についとると?」 「気がついてなかったの?」 「目で見える位置のものは気がつくけど顔までは鏡とかみらん限りは、気付かんね。」 「気持ち悪くないかい?」 「んー…ポケモンに関わる時に汚れるのはいいんやけど、心がまえなく、汚れるのは好かんね。」 「そう言うところはちゃんとしてるんだね。とりあえずここについてる。」 ルビはー自分の左の頬を指差すが、大抵こう言うとき人間は信号が取れないものでサファイアは必死で逆の頬をぬぐう。 「ああ!もう!!貸して!」 自分のポケットからハンカチを取り出しルビーはサファイアの頬の泥をぬぐった… 「あれ…?」 ふと、昔自分が同じような事をしたのを思い出す… 「なんばしよっとね!!」 不意に近付いたルビーから赤面して仰け反るサファイア。 「あのさ、君は最初に選んだポケモンて何?」 「行き成りなんね?」 「いいから!」 「アチャモとよ?こればっかりは小さい頃からきめっとたから…絶対アチャモば連れて旅に出るって!そう言うあんたは?」 「僕はエネコとポチエナ。今はエネコロロとグラエナに進化したけど。」 「え?」 その答えに今度はサファイアが固まる。 「どうかした?」 「いや…あんた…名前の由来…目の色のと同じ宝石の名前じゃなか?」 「何で知ってるの?話したっけ?」 お互いどうもこの会話に懐かしさがある…そう… 「僕の目は太陽と同じ赤…」 「あたしは大空と同じ青…」 そして二人は軽く笑って… 「まぁ、今更そんなこと関係ないよね」 「そう。関係なかよ。今は今たい!」 …二人が同じ会話と同じ行動を繰り返すように… 偶然二人が会うこともまた繰り返される… それは二人のとって絶対的な運命のようなもの… そして…今は今。 漸く原石から…磨きをかけて…新しい宝石になった… また磨きをかけて… もっともっと輝く宝石になれば良い。 また繰り返される…出会いの度に… ------------------------------------------------------------END--- 作者より… ルサ初めて書いたお話です。公式が出る前だったので話し目茶苦茶(笑) 平仮名多くてすいません。子供口調は平仮名で書きたかったので(汗) 嵌るのが遅いって自分。でも、この二人ののりは大好きです。 というか、私自身がこう言うCPが好きなので。もうちょっと早くは嵌れよ自分。 なんというか、うちではシュウハルより年下という設定が付いてます。 こっちの二人の方が小学生らしい恋愛してるなって。 だって、思った事をちゃんと言葉に出せるのってそれだけ素直な証拠だと。 素直=若いというのが私の考えなので。 最初のお話という事で二人の出会いについて考えました。 昔二人は会っているということでお願いします。 オダマキ博士が昔ルビーと会っているということで、 それじゃ、サファイアとも会ってんだろう?!と言う感じで書きました。 んで、また11歳の時に偶然に出会ってますから、 お互い出会う事は絶対的じゃないのかなって。 会うたび会うたび思いが増す磨くたび磨くたび輝きが増す。 二人の生き様が本当に宝石に見えたのでこんな感じになりました。 長々綴っちゃいましたが、ルサをこの先も愛でていきたいと思います。 それより、上手くルサの性格が出せたかが心配 あ、ちなみに幼い頃のルビーが人見知りとか素直とか 私の勝手な思い込みなのでご勘弁を!!(公式発表前だからね) 2004.12 竹中歩 |