これは一つのパラレルワールドの話である。
もしかしたら起きるかもしれない未来…
もしかしたら変わるかもしれない未来…
ひとつの物語を紹介しよう…





Various 〜一つの先〜





「君がジム戦を挑みに来るとは思わなかったよ…」
「ジム戦と言って良いのかはわかりませんけどね…」
「…?」
 シュウの言葉に疑問を持つセンリ
「この勝負…勝ってもバッジは要りません。その代わり…」
「ん?」



「               」



 まずでないと思っていた台詞…いや、それすら予想しなかった台詞にセンリは唖然とする。
「どうです?」
「…中々面白い…その勝負受けて立とう。」
 勝負癖のあるセンリは自信満々で引き受けたが…それは後に仇となった。















それから数年………










 その少年は自分の目の前にある大きな扉を大きく開いた…
「今日こそは!バッジを貰いますよ!!……ってあれ?」
「…あはは…」
 少年は自分の目を疑う。
「あの…ジムリーダーは…どこに?」
「一応、今は僕がジムリーダーだってことになってるんだよね…」
「はいぃ?!だって俺…1週間この街に滞在して毎日挑んでましたけど…明らかに戦ってた相手貴方じゃないですよ?!ってか、あんた誰ですか?!」
「えーと…何処から説明すれば良いやら…」
 少年はホウエン地方で開催されるサイユウシティの大会に必要といわれるバッジをゲットする旅をしていた。そして、その少年がいるのはキタトウカに存在する『トウカジム』。ここのジムリーダーは中々手ごわく、1週間負け続けている。そして、今日こそはと思い意気込んできたのだが…一週間戦った相手は何処にやら…少年の目の前には全く違う人物が立っていた。
「僕はマサト。ここのリーダーの弟なんだ。この時期…トウカジムはリーダーが代理になるんだよ。」
「なんですかそれは?!」
「去年は僕らの父親のセンリだったんだけど、今年は僕に白羽の矢がささちゃって…本当は研究者なんだけどね。」
 確かにリーダー基、マサトはリーダーという風格ではなく、白衣を着ているため研究者という職業が丸出しだ。
「でも…どうして?この時期は一番多いはずですよね?」
「本当…それは僕も思う。だけど、姉さんには譲れないものがあるみたいだからね…毎年この時期旅に出ちゃうんだよ。」
「ジムリーダーだからサイユウ大会には出ませんよね?」
「もちろん。そっちじゃなくて…グランドフェスティバルの方。君はコンテストには興味ないみたいだね。」
「あまり詳しくないです…俺はポケモンマスターになるのが夢ですから!」
 マサトはふとこの少年が昔一緒に旅をした人物と重なる。
「グランドフェスティバルでは有名なんだよ?家の姉さんは。」
「そうなんですか?」
「うん…今年はどうなるのかな……?さて、待たせるのも悪いね。じゃ!始めるよ!研究者だからと言って手加減してると痛い目見るからね!!」









 グランドフェスティバルの決勝戦…会場は熱気とさっきに満ちていた。
「さぁ!今年もいよいよやってまいりました!!グランドフェスティバル決勝戦!!」
「また…今年もなのね…」
「一体僕らは何年間同じ事やってるんだか…」
 その2人は不敵な笑みを浮かべつつ各々の舞台に立っていた。
「決勝戦一人目はトウカジムリーダーでお馴染みのハルカさん!今年もやはり決勝戦の舞台へとこまを進めました!初出場よりメキメキと腕を上げ、もうグランドフェスティバルでは常連です!一昨年、昨年と惜しくも優勝を逃しましたが、今年こそは優勝できるのか!そして決勝戦もう一人は年々ファンの数は増える一方!グランドフェスティバルの貴公子シュウさん!そのポケモンバトルの腕も宛らながら、容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能と日夜噂されています!グランドフェスティバル優勝者として常連!今年も優勝して3度とカップを握るのか!さぁ、因縁の2人の対決が今始まります!」
「絶対に今年こそはあんたに勝ってみせるかも!!」
 意気揚揚と宣戦布告を投げつけるハルカ。栗毛色の髪に透き通るような紺碧の瞳。それは対照的な赤い服が目にも鮮やか。昔付けていたバンダナは今はもうしていない。
「かもはいい加減止めた方がいい。子どもじゃないんだから…全く美しくないね。」
 いつまでたっても嫌味は変わらない…翠色の髪に同じ系統の瞳を持つ男性…シュウ。ハルカがバンダナを外した変わりに、シュウのほうはゴーグルを頭につけている。
「あんたって、絶対に一度は貶すのよね。」
「貶してるんじゃない。改善点を言ってるまでだ。」
「御託は良いわ…さ、始めましょ…アゲハント!ステージオン!」
「今年は絶対に負けるわけには行かないんだよ…ロゼリア!GO!」
 2人の仲は悪いように見えるが…実際は素直じゃないだけ…。今年もこの因縁の二人の戦いが始まる…










「あの時は流石にやばかったですね…」
「ほう…君でもそう思ったのかい?」
「ええ。実力はありますから…」
 コーヒーのカップを静かに置くシュウ。その真正面に座っているのはトウカジムジムリーダーとして有名だったセンリ。なぜこの2人が一緒にいるのか?
「まさか、本当にやり遂げるなんてね…しかも最速で。」
「約束でしたから…。」
 センリの前でもその余裕は変わらない。
 シュウは今から数年前にセンリとある約束を交わした。
 その約束の内容は…




















「この勝負…勝ってもバッジは要りません。その代わり…」
「ん?」
「お宅のお嬢さん…貰いますよ…」




















「まさか、私が負けるとは…」
「自信は全くなかったわけではないので…でも、あのあとの台詞には驚きました。」
「交際は認めるが、君にあげる訳には行かない。君がグランドフェスティバルで三冠王となったならば、君に譲ろうと言うやつかい?」
「ええ。その次の年からですね…彼女の腕が半端じゃなくあがったのは。」
「私が鍛錬したからね。」
 娘を譲るわけには行かない。それは後継者である以前にまだ早いと思ったから…その約束を果たさせない方法は、シュウが優勝しなければ良いと言うもの。そうするとハルカを優勝させるのが一番早い。
「あの勝負を知っているのは貴方と僕だけですから…彼女は知らないために本気でぶつかってきましたけど。」
「ハルカはまだまだ若いからな…」
 そんな2人の優雅な会話に一人の青年が慌てて飛び込んでくる
「もうーーー!!2人ともお茶してる場合じゃないよ!!また姉さんが!!」
「また…?」










「じゃ、始めるわよ!」
 ハルカは笑みをこぼしながらモンスターボールを一つ手にとるが…
「ハイ、ストップ!」
 シュウに抱えられるようにして戦いの場所から引き摺り下ろされる。
「ちょっと、何でよ!!」
「言っただろ?これから2年は僕がジムリーダーを勤めると。それが君とのお父さんとの約束だからね。」
「5回連続優勝及びその間ジムリーダーを勤めることでしょ?そうしなければ、私たちの結婚は認めない。だけどそんな約束私には関係ないかも!」
「ほら、またそうやってかもをつける…」
「良いでしょ!癖なんだから!」
 そんなどうでもいい会話送り広げながら2人はジムからでていき…取り残されるチャレンジャー。
「あの…私はどうすれば?」
「あはは…ごめん。僕が相手するよ。」
 この2人が結婚しない限り…弟の苦労は続きそうだ…










これはあくまで一つのストーリー…
だから、決してこれが本当になるとは限らない。
未来は自分たちで変えていくものだから…










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作者より…
某お方のイラストの虜になりお願いしてストーリーをつけたさていただきました(汗)
もう、その方のイラストを見た瞬間このお話が降って沸いて来まして…。
本当にすいません&ありがとうございました。
心潤わせていただきました!!