君が例えどこにいても…
小さな光しかなくても…
僕はきっと…
君を見つけられるだろう…





夏祭り





「…ねぇ…これって今日じゃない?」
 雨が降りじとじとした季節を通り過ぎ本格的に夏になったこの頃、サトシ達ご一行は海が近くにあるにぎやかな街の『ある』ポスターの前で足を止めていた
「ん?…『納涼花火大会』?日取りが…あぁ確かに今日だ!」
 ハルカの一言でそのポスターに食い入るサトシはポスターの内容を読み上げる
「だからココまで町が騒がしかったんだね」
「そう言えば屋台が出てたな…」
 マサトの言葉でココまで来る途中に何件かの屋台があったことをタケシは思い出す。
 そう、今日はこの街で花火大会が開かれるのだ
「あーん!!この街で花火大会があるなら家に言って浴衣送って貰えばよかったかも!」
 花火といえば浴衣。そう考えるのはやはり女の子。だが、自分の実家からこの街まで浴衣を送ってもらうとなるとかなりの時間を要する。後数時間で花火が始るので、今から送ってもらったって届くはずがない。
「しょうがないよ。だってこの街にはよる予定はなかっただもん。花火が見れるだけ良いじゃないのお姉ちゃん」
「うん…でも残念だな…」
「さて、何食おうかな…たこ焼きだろ、とうもろこしだろ…あとりんご飴も!!」
「サトシは食い意地が張ってるから気をつけろよ?前回もそんな感じでお腹壊しただろ?」
「わかってるよ。」
 メンバーは数時間後に開かれる花火大会を心待ちにしている様子。
「花火…か…。」
 ハルカはそうもらした後、何故か少し笑う
「お姉ちゃ―ん!!ポケモンセンター行くよー!!」
「はーい!!」
 まだ夜には遠いけれどメンバーは足並み軽くポケモンセンターへと向かう





「え?…本当ですか?」
「はい。当ポケモンセンターはセンター内を上げてこの花火大会に協賛していて、浴衣を持っていない旅をしている方に無償で浴衣をお貸ししています。」
 受付を済ませたメンバーにショーイは笑顔で対応する
「それって、凄く嬉しいかも!!」
「自分はジョーイさんの浴衣姿が見られるなら今日の花火と共に打ち上げられても良いです!」
「はいはい、ナンパは夜まで取っておこうね」
 いつものようにタケシがナンパするのをマサトがタケシの耳を引きずりながら回収していく
「男性用女性用があるから、好きな柄を選んでね。浴衣の着付けはラッキーやハピナスがしてくれるわ」
 ジョーイに通された部屋には綺麗に折りたたまれた浴衣が所狭しと並んでいた。
 その色とりどりの風景は心なしかケーキ屋さんの艶やかなショーウインドウを髣髴とさせる。
「うわー!!この中から選んで良いんですよね?」
「ええ。好きなのを一着どうぞ。試着もしてください」
 ハルカは目を輝かせながらその風景に吸い込まれていく。やはりそこは女の子かなりの割合で着る浴衣を迷っている
「こっちの白のもいいし、そっちのピンクも捨てがたいし…あーでも、その花柄も良いしな…」
 そんなハルカを尻目に、どんな浴衣が自分に似合うかわからない男子一同はジョーイさんに頼んで選んでもらったようだ。
「うーん、それじゃこれにする!ラッキーお願いできる?」
 漸く浴衣を選んだハルカは試着室に入ってラッキーに着付けをしてもらうのだが…

「ラッキー…もう少し優しくお願いするかも…。」
「無理!無理!」
「え?これくらいきつい方が良いって?」

 男性と違って女性は浴衣を着るのが戦争だ。お腹から胸にかけてのあたりを帯できつく締める。浴衣の帯がはずれないようにするにはココまでしなければならない。
「あー苦しかったかも…」
「あら、やっぱり女の子ね。自分の似合う浴衣がわかってる。可愛いと思うわ」
「ありがとうございます」
「これが本当の『馬子にも衣装』だな」
「『孫にも衣装』?!」
「サトシ…子どもの子どもの『孫』じゃなくて、『馬の子』て書く馬子だからね。」
 タケシのことわざをお決まりのパターンのごとく誤字で考えるサトシ。
「もう!!褒めるとか出来ないの?」
「まぁまぁ、花火の打ち上げは7時からなのだけど大会は5時からになってて、今は6時前だからそろそろ行って場所をとったほうが良いかもしれないわ」
「ありがとうございます。…サトシたちは先に行ってて後から追いつくから」
「お姉ちゃんは?」
「せっかく浴衣まで着たんだもん、髪の毛ぐらいはセットしていきたいし…それにサトシがお腹すかせてるみたいだしね。」
「そっか…じゃ、お言葉に甘えて俺たち先に行くな!」
「うん。」
 ハルカは先に出発したサトシ達を見送る。
「結局褒めてもらえなかったな…そこまで私、魅力ないのかな…」
 横にいたジョーに少し愚痴をこぼすハルカ。
「でも…きっとあなたにもいると思うわ…あなたの魅力を引き立たせてくれる人…あなたに似合う格好がよくわかる人…見つかると良いわね。」
 ジョーイの微笑みはどこか意味深だった…










「やばい…かも…」
 そろそろ当たりも暗くなり始めた7時手前、もうすぐ打ち上げが始ると言うのにハルカはまだサトシ達を発見できてはいなかった
「ココまで人が多いなんて思ってなかったよー!!やっぱり海辺の街の花火大会って人が多いのね…」
 予想を遥かに超した人の量。それがサトシ達の発見を遅らせる。
「髪なんてセットしなきゃ良かったのかな…でも、浴衣着たんだもん。せめて凝ったのじゃなくてアップぐらいは…て思ったのに…それがこうなるなんてね…」
 ハルカの髪は軽くアップにして大きなバレッタとで止めているという状態。浴衣にはとても似合う涼やかな髪形。そんなハルカに追い討ちをかけるように会場内にアナウンスが流れる
「7時になりましたので花火の打ち上げを始めたいと思います。花火を寄り美しく見せるために会場内の電灯をすべて落としますのでご注意ください。」
「げ!!うそ!!」
 そのハルカの言葉と共に会場内から明かりが消え、屋台の明かりだけがついている。このような状態では人を探すのも困難だ
「もう…あきらめて一人で花火見るしかないのかな…」
 花火の打ち上げは開始され、漆黒の夜空には明るい花がさんさんと輝いて消える。やはり花火の醍醐味はそこにあるのだろう。花火の打ち上げと共に観客の喝采が聞こえる。
「花火って…楽しいものだと思ってたけど…一人だとつまらないかも…」
 なんだか花火を見る気が失せてしまい、花火の明かりだけを頼りにとぼとぼと歩くハルカ。しかしそれが悪かった。思い切り人にぶつかり倒れかける
「(うわ!借り物の浴衣なのに汚す!!)」
 何故か倒れる前に自分の体より浴衣が汚れることを考えてしまった。そして、体の中でそろそろ地面という感覚にさいなまれているのにいつまで経っても地面は来ない。
「(あ…れ?)」
 自分の精神感覚と体の感覚に誤差が生じるのに不快感を覚える
「大丈夫?」
 誰かが支えてくれているのが漸くわかった。だが周りの暗闇のせいで顔が見えない。
「すいません。大丈夫です…」










 そう思って顔をあげた瞬間、ひときわ大きな花火の明かりのおかげで人の顔が薄裏と浮き上がる
「…なんでいるの?」
「…また…君か…ハルカ君」










 何となく予想はしていた。でもそうであるはずがないと思った人が目の前にいる。
 嫌味が似合うとハルカが思っている少年『シュウ』。しかもいつもと感じが違う
「なんでいるのー!しかも…浴衣だし…」
「2回目だよ。その台詞」
 珍しくいつもの夏にはちょっと暑そうな黒と紫の服ではなく濃い緑一色の浴衣を着ていた
「いや…だってどうして?」
「本当は今日出発する予定だったんだけど、花火大会があるとジョーイさんに聞いてね。そう言えば今年は花火をちゃんと見ていないと思って…ココにいるって訳さ。」
「へー…シュウでも花火見るんだ」
「…馬鹿にしてるのか…嫌味なの…」
 ハルカの言葉をどう受け取って良いかわからないシュウ
「ごめん、そんなつもりで言ったんじゃなくて、なんかシュウって騒がしい所嫌いそうだから…」
「花火は別だね。一瞬だけどその美しさを見れるから…」
「そういう事ね…」
「そう言えばいつものメンバーは?どこかで合流かい?」
 シュウがその言葉を言ったとたん笑顔で喋っていたハルカが暗く沈む。
「合流の…予定だったんだけど…花火か始るまでに見つけきらなくて…会場の明かり落ちちゃうし…何処にいるかわからないんだ。集合場所も決めてなかったし。だから一人で歩いてたの…」
 その暗さを吹き飛ばすようにハルカは無理して笑う
「……」
「シュウ?」
 無言のシュウに不信感が沸いたハルカはシュウの目の前で手をひらひらとさせる
「…一緒に来るかい?僕も一人だし…行く当てもないし…それに誰かが言っていた気がする『花火はうるさい人といったほうが楽しい』て。君なら該当人物に当たるからね。」
 一応本人は優しさのつもりで言っているのだろうがやはり嫌味が混じっている
「あのさ…素直に一緒に行かないて言えないの。今の言葉凄く貶された気がするんですけど…」
「行くのかい?行かないのかい?」
「…どうせ一人じゃ面白くないもん。行く!サトシ達探しがてらに」
「君も素直じゃないね…」
「お互い様よ」
 こうして妙な組み合わせが花火大会を楽しむこととなる





「(もしかして…私って引き立て役?)」
 歩いて数分ハルカは自分の置かれている状況に気づく同じくらいの女子達が全員振り向いていく。屋台の周りを歩いているのだが、屋台の明かりのせいで皆顔は把握できてるらしい。
「今の子シュウ君じゃない?」
「私も思った!絶対そうだよ!」
「わぁ!シュウだぜ」
「あの大会で優勝した奴だろ?」
「あの…そばの女の子と対照的な色した浴衣着てるから…なんつうかさ…男の俺でもクールだなって思うよ」
「(私も優勝してるんですけど…)」
 行く人行く人が皆ざわざわと声をあげていく。
「(そう言えば…一応有名人なんだよね…)」
 シュウは少し歩くのが早くハルカは背中を見ている状態なのだがそんなことをふと思い出す。これだけ人がいれば誰も気づかないと思ったのだが、世間はそうはさせてくれなかった。
「(普通は男子が引き立て役なのに…何で女子の私が引き立て役になっちゃうかな?…て言うか歩くのが早いよ――!)」
 先ほどから行っているようにシュウは歩くのが早い。いつものように呼び止めれば良いのだが、大声を出して大人数にシュウがココにいるとバレたら、女の子が放っておかないだろう。そんなことになればとても花火どころではない。
「(これじゃ一人で歩いてるのと変わらないよ…)」
 少し目を瞑った瞬間シュウの立ち止まった背中にぶつかる
「わっぷ!」
「…あ…ごめん」
「ごめんじゃないよ…止まる時は…」
 振り向いたシュウは一定の方向を指差している。指を指しているのは街灯がなく本当に花火の明かりしか光がないような通路だった。
「ん?」
「そっちに移動して」
「うん…」
 言われるがままハルカはやはり先を歩くシュウのあとをついていく。
「何でこっちみたいに暗い方なの?こけるよ?」
「注意していればこけないさ。それに…顔も分かりにくいし。」
「(もしかして…やっぱり嫌だったんだ…通る人通る人に顔がわかるの…)」
 ちゃんとこの行動は考えてのものだった。ココまで暗ければ面は割れないどうという考え。
「このまま歩いて行ったらどこ行くんだろう?」
「え?シュウわかってて歩いてたんじゃないの?」
「いや…適当に歩いてただけだよ。それより見つかったのかい?弟君たちは?」
「見つからない…屋台とか見て探してたんだけど…」
「もう一通り歩いたんだけどな…しょうがない。行くとかまで行こう。」
「うん…」
 なにやらシュウにとんでもなく迷惑をかけているようで申し訳がない。そう思いながらさっき歩いていたときと何かが違うとハルカは悟る。
「(あれ……歩く速さが一緒だ…)」
 さっきまではシュウの背中を必死で追いかけていた自分。だが今は隣でちゃんと会話を交わしている。
「無理しなくて…いいよ?」
「え?」
 ハルカのいきなりの言葉に一瞬戸惑う。
「だって、シュウ本当は歩くの速いのに無理して私に合わせなくても…」
「なんだ…そのことか…別に僕は好きでこの速さで歩いてるわけだし…。」
 シュウは笑って返す。こう言うときはやはり頼もしく見えるのが男子。そして、そんな唯行き先もなく歩く二人の前に二人の少女が現れる
「それどうするのよ……」
「だって…まさか掬えると思ってなくて…」
 あたふたしている少女にハルカは声をかける。
「どうかしたんですか?」
「あー…実は金魚が……」
「金魚?」
 ハルカは首をかしげた。金魚というだけあって一人の少女がお祭りには欠かせない存在の金魚を袋と共に持っている。
「それがどうかしたんですか?」
「あの、私たち色んな所を旅しているんです。で…旅をしながら金魚はもちろん飼えませんし…どうしようかなぁって…」
「ああ…そういう事か…」
 ハルカは漸く状況を飲み込む。前どこかで開催されていた祭り会場で自分も似たようなことをした覚えがると。そのときはポケモンセンターが引き取ってくれたのだが。
「誰かにあげたらどうですか?小さい子とか…」
「さっきからやってるんですけど…誰も貰ってくれなくて…」
 女の子達は途方にくれていた。その彼女達を見て漸くシュウが口を開く
「僕に譲ってもらえないかな?」
「え?…いいんですか?」
「このままじゃ金魚も可哀想だし。」
「ありがとうございます!!」
 女の子は嬉しそうに金魚を渡すと騒がしい屋台の通りへと走っていった。二人が見えなくなるまで手を振りながら…。
 きっとこう言う一つ一つの仕草が女性達をとりこにするのだろう。が、残された金魚をどうするかがハルカたちには問題である。
「どうするのよ?シュウだって旅してるんでしょ?」
「別に僕も考えなかったわけじゃないよ…来て…」
 ハルカは誘導されるままにさらに暗いところまで歩く。そこには小さな池が存在していた
「池?」
「そう…ここに放そうと思ったんだ…」
 シュウは花火の打ちあがった光を頼りに袋から金魚を出すとその池にちゃぷんという音を立てて金魚を放す。
「ねぇ…大丈夫なの?なんか他の生き物とかいたりしない?」
「大丈夫だよ…ほら…」
 花火が再び上った時に池をのぞくとそこには数匹の金魚が泳いでいた。
「なんだ…仲間がいたんだ…」
「まだ僕明るいうちにこのあたりに来てね…そのときにココを見つけて…だったらここに放そうって」
「まぁ…一人よりかは良いわよね…でもココ気味悪いよ…」
 確かに暗くて池があるようなところはあまり良い気はしない。
「ああそう言えば…誰かが言ってたな…『出る』って」
「『出る』って…何が?」
 心のなしかハルカの声はかすれていた
「属に言われるユウレ……」

「ギャァァァァァァァァァァー!!!」

 シュウが『幽霊』という前にハルカの悲鳴で言葉がかき消される。誰しもこのような場所でそんな話をされれば怖くはなる。ハルカの場合はそれがちょっと行き過ぎている様子。周りにいた観客の人たちもその声に驚き声の主を探しているほどだった。しかし、ハルカ達のいる場所はいりくんでおり、滅多なことでは見つからない。
「………」
「……」
 お互い無言が続いていた。それには二人の格好があったからである。ハルカは悲鳴をあげたとたん恐怖からパニックに陥りとっさにシュウにしがみついたのだが勢い余って押し倒す状態となった。シュウも一応男子なので全部押し倒される前に座った状態でなんとか体勢を保つ。が…なんとも気まずい格好である。
「あのね…幽霊は…」
「イヤァ!聞きたくないぃ!」
 まだパニックらしくシュウの胸に顔をうずめたまま人の意見を聞こうとはしない。余程怖いらしい
「冗談なんだけど……」
「冗談て言っても、怖いものは怖い……冗談?」
「そう…冗談のつもりだったんだけど…」
 その言葉に一気に自分の置かれている状況を飲み込む。コンマ5秒ほどでハルカは後ろのほうへと後ずさる。
「なんで冗談なんか言うのよ!」
「いや…ココまで驚くと思ってなくて…」
「凄い恥ずかしいことしちゃったじゃない!」
「それに関しては謝る…ごめん」
「もう…やめてよね…この手の話ダメなんだから」
 シュウは少しはにかんで笑った。だが、直ぐに顔が変わる
「…あれ…」
「え?何?」
 シュウが自分の方を見て何か無言になる
「帯ほどけてる…」
「え?!」
 自分では後ろが見えないので手を差し伸べてみると確かに帯はほどけていた。
「あちゃー…きついのが嫌だからってラッキーにゆるく締めてもらったのが今の衝撃のせいでほどけちゃったんだ…どうせサトシ達も見つからないし…ポケモンセンター帰ろうかな…」
 ハルカは対処方法を考えていたがシュウがハルカの手を軽く引っ張り近くにあった神社の境内へと連れて行く。
「え?何?」
「明るい所がココしかなくて…ちょっとじっとしてて」
「何するの?」
「今、帯締めなおすから…」
 シュウの口から思わぬ言葉が生まれる
「…でき…るの?」
「一応…着付けも一人で出来るし…」
「へぇ…ちょっと関心かも…凄いな女子の私でも無理なのに…」
 ハルカはさっきからへこみ気味である。理由は数あれど最初はやはり引き立て役になった辺りからだろう。そんなハルカを見かねたシュウは珍しく慰めの言葉をかける。
「女子でも出来る人は珍しいよ。基本的あまり着る機会がないからね…はいできた。」
 そのシュウの言葉を聞くとハルカは後ろのほうへと手をまわす
「あれ…形が違う…」
「ああ…結び方?そっちのほうが良いと思ったんだ。今日会った時からね…」
「ありがとう…そろそろ花火終わっちゃうな…サトシ達に謝らなくちゃ。」
「じゃぁ、先に帰ったほうが良いね。3人もいれば誰かが君がポケモンセンターにいるんじゃないかと思って帰ってくるだろうから。安心させるためにね。」
「うん…」
 花火の帰り道はまだ花火を見ている人でごった返してはいなく、人通りが寂しい。そんな中を2人は歩く。
「何のために今日来たんだろう…花火あんまり見れなかったし…シュウには迷惑かけるし…ホント付いてない。」
「でも…僕は結構楽しませてもらったよ。満更でもなかったうるさい人と一緒にいるのも。」
「うるさくて悪かったわね!」
「それに…君の弱みもわかったし…」
「酷い…誰の所為だと思ってるのよ…それを使って脅したりしないでよね」
「そこまで酷くはないよ、僕は。」
「どうだか。」
 怒っていたかと思いきやいきなりハルカは笑をこぼす。その笑にシュウは肩をビックとさせる
「なんだい…いきなり?」
「あ、ごめん。今日…この街で花火のポスター見た時を思い出したのよ。」
「ポスター?」
「そう…そのときにねシュウを一番最初に思い出したの…で、何となくだけど会える気がしてたの。」
「どうして?」
 ハルカはまた笑いながら少し間をおくとシュウの目の前に人差し指を出して小悪魔のように笑う
「だってね。シュウと初めて会った時の夜に…私花火見たんだよ。」
「もしかして…あのアチャモ持ってた実を使った花火…かい?」
「そう!だから花火見たら思い出しちゃって…私の『何となく』も捨てたもんじゃないよね」
「…付いたよ…。」
「本当だ…じゃぁ…私部屋戻るから…またね!」
「それじゃ…」
 2人はポケモンセンターに入ると自分の部屋へと戻っていく、ハルカはその途中でジョーイと遭遇
「あら?早かったのね」
「ええ。サトシ達が見つからなくてもしかしたら花火終わったらすっ飛んで帰ってくるかもしれないって。それで早めに切り上げたんです。」
「そう…残念ね…一人で見たの?」
「いえ…知ってる人にあったんでその人と一緒に行動してました。」
「それなら良かった…あら?帯の結び方が変わってるわね?」
「これですか?途中でほどけちゃって…その知ってる人がしてくれたんです」
 ハルカは笑顔でそう返す
「でもこの結び方…」
「はい?」
「とても似合っているわ。あなたの魅力を引き立ててる。きっとあなたのことをよく知ってて大切に思ってくれてるのね。帯の結び方にはその人への『想い』がでやすいのよ…」
「そう…なんですか?」
「ええ。きっと大切な人になるわね…」
「大切な…人…」










『一番最初に思い出したの』

まさか彼女から…
あんなに嬉しい言葉がもらえるなんてね…
嬉しい言葉は予想外なほど嬉しい。
きっと彼女はこれからも…
僕を喜ばせてくれる










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作者より…
某様のお祭に捧げた物です。
何か妙に和服が似合うシュウだったので結構このお話は好きですが、今更ですが…

やりすぎた!!(赤面)

絶対にハルカが怖がってシュウ押し倒すとかありえないんだよ!!(自分でいうな!)
後シュウが着付けが出来るシーンが凄く色っぽいというか…エロ…というか(失礼)
でも、男子が女子の着付けできるんだろうかとも思います。
2004.8 竹中歩