「さん、今日は絶対に管理委員会に来てよね!」 現在放課後。 ここに至るまで、久々知君は何度も同じような台詞を言ってきた。 いつもなら、理由を並べてお断りするのだが、今日は妙に言葉に力がこもっている。 「……見学だけで良いなら行くよ」 「本当!? なら、十五分後位に理科室横の資料室に来てね! 絶対だからねー!」 そう言って、彼は走り去って行った。何で今日はあそこまで必死なんだろう? ……管理委員会。 どんな委員会なんだろう? 甘酒はいかがですか? 「ここかな?」 理科室がある校舎は教室から少し遠い。 帰りの身仕度や、提出しなければいけないノートなどを職員室に持って行っていると、少し言われた時間を過ぎてしまった。 わたしは急いで扉を開ける。 「失礼します……」 申し訳なさと、初めて入る教室に自然と体が強張る。 「おや? ……君は?」 資料室の中は、書類ばかりからと思いきや、普通に先生達の使う机もあったりして、小さな職員室の様な感じだ。 その机のそばに腰をかけるのは、見覚えのない先生らしきひと。 「えーと、高等部二年、です。同じ学年の久々知君に呼ばれたんですが……」 「久々知に? あいつはまだ来ていないぞ?」 はて? 言われた時間はとうに過ぎているのに、まだ彼は来ていないのか。 そう言えば、管理委員会の部屋と言いつつも、この先生以外誰もいない。 場所を間違えたのだろうか? 「まぁ、ここにいればその内来るだろう。にしても、斎藤や久々知以外の高等部を見るのは久しぶりだ」 「? 先生はもしかして、高等部の先生ではないのですか?」 「あぁ。私は土井半助。中等部で一年三組の担任をしている。だから、中等部の方にいる時間が長いんだ」 「一年三組? と言う事は、喜三太君や兵太夫君の先生ですか?」 「お? あいつらを知っているのか?」 「ええ。まぁ」 ここしばらくの間に、色んな委員会に顔を出すようになってから、後輩の知り合いも数多く出来た。その中で特に人数が多いのがこの土井先生の受け持つ一年三組。 素直で可愛らしい一年生が多いと私は思っている。 「そうか。何かと問題の多い子たちだが、良い子ではある。これからも、良かったら助けてやってくれ」 「はい。力及ばずながらも、協力させていただきます」 寧ろ、こちらの方がお願いしたいくらいだ。 可愛い後輩と触れ合えるのは、私としても嬉しい。 それにこの先生、雰囲気が好きだ。優しくて、なんかこっちまで笑顔になってしまう。 ……うちの担任と変えて貰いたい。 因みにうちの担任は去年と一緒。私をC組にしたあの担任です。 「さて、私は職員会議があるから行くが、君はどうする?」 「出来れば久々知君を待ちたいんですが、迷惑になるようでしたら帰ります」 「なら、待つと良い。迷惑ではないからね。彼らももう少ししたら来るだろう」 そんな話をしていると、資料室の外から声がしてきた。 あ、久々知君の声も聞こえる。 「良かったね。来たようだよ。それじゃ、私は失礼する。彼らの相手を頼んだ」 わしゃわしゃと土井先生は頭を撫でてくれたあと、資料室から出て行った。 うん、良い先生だ。なんかあったかい気分になる先生。 専門教科だけでも聞いておけばよかったかな。 そうしたら、分からないところ教われるかもしれない。 「あ! さん! ごめん、待たせた!」 がらりと扉を開けて、久々知君が顔を出す。 ……でかいストーブと共に。 「そこまで待ってはないよ。土井先生と話してたし」 「あ、やっぱり? 今そこで会ってさ。でも、良かったー。一人待たせてたらどうしようかと思った」 「そこまで気しなくても。みんなの相手をしてくれと言われたが」 「はは。土井先生、酷ぇ」 笑った顔で、その大きめなストーブを資料室に運び入れる久々知君。 そのあとに、ヤカンやら、湯のみやらを持った生徒が続々と入ってきた。 その行列の最後には、見覚えのある生徒。 「おや、タカ丸さん」 「あ、ちゃん。いらっしゃい〜」 にへら。そんな表情の笑顔で、彼もまた何かを抱えている。 ……鍋? うん、あれは鍋だ。片手用の鍋。 「久々知君、なんかするの?」 「え? あぁ、うん。この部屋寒いからさ、ストーブ持ちこんで甘酒でも飲もうかと思って。だから、さんを誘ったんだ。なんか食べる事とか好きそうだし」 「甘酒!」 まるで犬か何かのように反応する自分。 だって、学校で甘酒なんて飲めるとは思ってなかったから。 「あ、その反応は嬉しいととっても良いのかな?」 「もちろんです、久々知君!」 「誘って正解。だね、タカ丸さん」 「だねー。それに、こういう機会があればちゃんと話せるし。僕、ちゃんとはまともに話した事なかったら」 ストーブは持ち運びできる取っ手の付いた円柱状の物。 それを中等部の子や久々知君達がセットしていく。 そして灯がともり、少しずつ部屋が暖かくなっていくのを感じた。 「この部屋、何でこんなに寒いんですか?」 「それはですね、ここが理科室の資料室も兼ねているからです」 目の前にぴょこんと出てきた少年が得意げに胸を張る。 「ここ、普通の資料室じゃないの?」 「普通の資料と理科室の資料半分ずつなんですよ。だから、そこの戸棚に薬品が入っているでしょう? その薬品保持の為に部屋の気温を一定に保っているんです。まぁ、そのストーブ位の温かさなら、そんなに変化は起きないんですけど」 「ほう、そうなのか」 確かにガラス製引き戸タイプの戸棚がそこにはあった。 普通の本棚と並んでいるから、てっきりそれも本棚だと思い込んでいたが、良く見てみると、鍵すら付いている。結構厳重な扉。 「……ガラスを割れば流石に取れるか」 「ぶ、物騒だよ〜。ちゃん」 「あ、すいませんタカ丸さんつい。……で、えっと君は?」 資料室の中を説明してくれた少年に名前を聞く。 「はい! 中等部一年三組『二郭伊助』です!」 「に、にのくるわ……変わった名字だね」 良く言われますと、照れながら笑う一年生。可愛いぞ、一年生! 「それで? 先ほどから無口な君は?」 「……別に僕の名前なんて知らなくてもいいでしょう」 切り捨てられるような台詞の後、そっぽを向かれてしまった。 しばらく固まる自分。 「え、えっとですね。池田先輩は誰に対しでもああなんです。だから、決して先輩の事が嫌いなわけじゃないんですよ?」 「好きとも言ってないけど? 勝手な解釈やめてくれる?」 伊助君がすかさずフォローしてくれたのだが、その池田と言う少年は一向にこちらを見ようとしない。 流石に本人目の前にしてのこの対応は、きついです。 「……まぁ、名前だけでも教えてくれないかな? 池田君」 「名字だけあれば十分だと思いますけど? あ、はい湯のみです」 「あ、ありがとう……」 仏頂面だが、ちゃんとやる事はやる子らしい。 人づきあい苦手なのかもしれない。 「さん」 久々知君がポンと肩をたたく。 「大丈夫。基本的に彼は素直じゃないだけだから。そのうち名前を教えてくれるよ」 「気配すらないけど、大丈夫かね?」 「うん。きっとね。さ、甘酒出来たから飲もう?」 ストーブの上で、良い感じに温められた乳白色の液体を、タカ丸さんが湯のみに注いでくれる。 湯のみごしに伝わる熱が、冷えた指先には温かかった。 「熱いから気をつけてね」 「了解です」 ほややーんとした声で笑顔を向けられ、タカ丸さんにつられて笑ってしまった。 「ほら、みんなも湯のみ出してー」 伊助君、久々知君、そして池田君が湯のみを差し出し、タカ丸さんが一つずつにゆっくり注ぐ。 辺りに温かい湯気が上った。 「みんな行きわたったね? どうぞー、飲んでー」 いただきますと、それぞれが言って湯のみを口に運ぶ。 少し生姜の聞いた甘酒は口に入れただけで、心底温まりそうだった。 「熱っ!」 一人が声をあげ、みんながその方向を見る。池田君だった。 「気をつけて飲まないと、甘酒はやけどしやすいぞ? 伊助。水持ってきてやってくれ」 「はいー!」 伊助君が久々知君に言われて、空の湯飲みを持ち、教室から出て行った。 「もう少し待ってろよ? ちょっとここから水飲み場遠いから」 「大丈夫です。これくらい」 多分、平気なんじゃなくて強がりなんだろう。 なんというか、本当に素直じゃない子だ。 「……少し待って」 久々知くんと池田君に声をかけるように私はカバンの中を探る。 素直にはなれないけど、きっとまだ舌は痛い筈だ。早く冷たいものあげたい。 「タカ丸さん。まだ空いてる湯のみありますか?」 「んー? あるよー。はい」 空の湯飲みをタカ丸さんから受け取ると、私は取り出した水筒からお茶をそそぐ。 もちろん、冷たいお茶です。 「これ飲みな? まだ、舌痛いでしょ?」 「大丈夫です……」 「大丈夫って顔じゃないですが?」 少し涙目になった池田君。こんな表情されているのに、放っておくわけにはいかない。 「池田。今は甘えておきな? 火傷は早い対処が必要なんだよ?」 「でも……初めて会ったばかりの先輩に物を貰う訳には行きません」 「……良いから! とりあえず、飲みなさい!」 思わず声を張り上げる。 素直じゃないのはしょうがないけど、こんな時まで意地をはらなくて良いと思ったから。 「あのね、ここまで言ってくれるのは心配してくれるとからだと思うんだ。僕も心配だし、ちゃんも一緒だと思う。だから、今は飲んだ方が良いよ」 タカ丸さんの言葉に漸く折れて、池田君は湯のみを受け取ってくれた。 そして、渋々ながらもそれを口にする。 「……? 普通のお茶じゃ……ない?」 「あ、ごめん。それ、ブレンド茶。麦茶とかどくだみとか、その他もろもろ」 「お、美味しくなさそうなお茶だね……」 顔を引きつらせるタカ丸さん。まぁ、中身聞いたらそうなるよね。 でもさ、 「味は、悪くないです……」 私が言おうとしていた言葉を池田君が代わりに言ってくれる。 「え? 本当なの、ちゃん」 「あ、はい。不味くはないと仕上がりにはしてると思います」 「そうなんだー。ちゃんが言うなら美味しいんだろうね」 「確かにさんのカバンから美味しいものが出てくるって噂があるくらいだもんね」 久々知君とタカ丸さんが二人して笑う。 すでにもうこの噂は訂正することを諦めた。キリがないのだ。 「普通の水よりは、多分火傷の治り早いと思う。……無理に飲ませてごめんね?」 「いえ……気にしてませんから」 そっぽを向く彼。 やっぱり仲良くなるのにはかなりの時間がかかりそうだ。 「先輩! 水持ってきました!」 ようやく、伊助君が帰ってくる。 本当に水飲み場、ここから遠いんだな。理科室が横にあるけど、理科室の水は出来れば飲みたいな気がする。 「ありがとう。でも、もう必要……」 『ないかも』等言おうとした久々知君の言葉が遮られる。 「しょうがないから貰ってやるよ」 伊助君の持っていた湯のみを強引に奪うと、池田君は一気飲みする。 気付くと、私のあげたお茶も綺麗に飲みあげていた。 「まぁ、あのおバカクラスのお前でも、ちゃんと水は運んで来れるしな」 ははんと笑う池田君に仰天。 この子、素直じゃないって言うか、天邪鬼が入ってる。 何? 小さい子はいじめたがるタイプなのか? 「……池田はね、ああ見えて結構律儀なんだ。でも、素直になれない。まぁ、ツンデレってやつかな?」 そうっと久々知君が教えてくれた。 と言う事は、私にもデレてくれる日が来るかな? お茶の事、不味いって言わないでいてくれただけ、可能性もあるし。 これからは積極的に声をかけよう。 「そうだ。そう言えば、結局管理委員会って何してるところなんだね?」 ようやく落ち着いた委員会の人たちに改めて問う。 資料室が委員会の教室と言う事はそれがらみだろう。 「基本的に、資料の貸し出しを管理する事かなー? 授業とかで使う機材だったり、書類だったり」 「他にも、パソコン等の貸し出しも管理しています」 タカ丸君と伊助君が指さして、内容を教えてくれる。 なんだ、意外にまともじゃないか。この委員会。 「あとは、薬品の管理が主な仕事です」 「薬品? それってあの戸棚に入ってる奴の事かい?」 すぐに返事を返したけれど、池田君は目を合わせてくれなかった。 はは、これはかなり苦戦しそうな後輩。 「あの薬品は生徒が使っても大丈夫な物だけど、やっぱり管理はある程度必要だから、僕らが預かってるんだ。ほら、こんな風にね」 ちゃらりとキーホルダーに付いた鍵を久々知君は見せてくれた。 あの鍵が管理している証拠と言うことだろう。 なかなか大変そうな委員会かもしれない。 「薬品って、授業以外にも使われてるの?」 「うん。それを専行にしてる生徒とか、部活とかね。もちろん、先生の許可証がないと薬は出せないよ」 「勉強になります」 そんな分野の生徒までこの学校にはいたのかと初めて知った。 この学校に来て一年ちょい。今だ新発見の連続です。 「それで、ちゃんはどう? 入ってくれる気になったー?」 タカ丸さんは純粋な眼をこちらへと向けてくる。 「わ、私には管理とかそういう責任のある仕事は無理だと思うんですが……」 「大丈夫だよー。みんなで教えてあげるからさー」 くっ! 意外に侮りがたし、管理委員。 たしかにこうやってみんなでしゃべれるのは良いけど、薬とか間違えて割ったら怖いし。 それに、放課後毎日ここって寂しい。 「先輩、入ってくださいー! 皆でお喋りしましょう?」 伊助君ががっちりと腕を掴む。 後輩のまぶしい瞳に相変わらず弱い自分。 「えーと、私には更衣室委員会と言うものがあってだね、それを疎かにするわけには……」 「先輩は更衣室委員会もまともに出来ない人なんですか?」 「え?」 池田君がこちらを見ている。 今の台詞は馬鹿にされたってことかな? 「……嫌み。として受け取っていいのかな? 池田君」 「真実なら嫌みにはなりませんよね? と言うか、普通は両立出来ますよ」 「な、なにおう!?」 確かに不器用です。でも、両立って結構難しいと思うんですが。 大体、委員会会議あったら、どっちに出ればいいのさ!? 私が怒ろうとしていると、端っこの方でタカ丸さんと久々知君が笑いを堪えていた。 なんで? 「……何がおかしいんですか? 先輩方」 どうやら池田君も同じ気持ちだったらしい。二人にむっとした表情で聞いている。 「い、いや。相変わらず池田も素直じゃないなって思ってさ。……まぁ、さん。うちの委員会の事も考えておいてよ」 「善処しておきます。では、もうそろそろ帰る時間ですので。甘酒ごちそうさまでした」 湯のみは後で洗うと言う伊助君の言葉に甘えて、彼に託した。 何となく、今までで一番落ち着いた委員会。それが私の管理委員会に対する感想だ。 今度、何か差し入れを持ってきてあげよう。 ここは多分夏以外は基本寒そうだから。 「じゃぁ、また」 入ってきたときと同じように、引き戸を開けて私は資料室を後にした。 甘酒のおかげか、体は全体的にぽかぽかしている。 いいな、学校で甘酒飲めるっていうのは。 そんな事を考えていると、不意に右腕を掴まれた。 「へ!?」 驚いて振り返ると、そこにいたのはあの池田君。 この彼が追いかけてくると言う事は、私は何かとんでもない粗相でもしたのだろうか? 「ど、どうしたんだい、池田君!? 私、何かしましたか!?」 「………です」 「え?」 小さな声で聞き取れない。何かを言っているようだ。 「だから、…………です」 「ごめん、もう一回言ってもらえるかな?」 そう言うと、彼は顔を真っ赤にさせて 「『池田三郎次』です! 貴女は耳が遠いんですか!」 「いや、いたって普通の聴覚……あ! 名前」 何事かと思いきや、名前を教えてくれるため態々追いかけて来てくれたのか。 「名字だけあれば十分って……」 「気が変わったんです。因みにクラスは二年一組です」 「二年一組の池田三郎次君ね。うん、覚えた」 顔から笑みがこぼれた。まさかここまで早く名前を教えてもらえるとは思ってなかったから。 「じゃ、改めて私は二年C組です」 「知ってます。久々知先輩からお聞きしてますから」 「さようですか……」 真面目と言うか、なんと言うか、綾部君まではいかないが扱いにくい子だ。 でも、久々知君の言っていた通り、素直じゃないだけと考えるれば可愛い。 まぁ、中等部は基本的に可愛いけど。 「先輩?」 「は! すまん、手が勝手に!」 無意識のうちに彼の頭を撫でていた自分がいた。 自分の可愛いへの情熱が怖い。 「こ、今度来た時はもう少し管理委員会の事説明してあげます。委員会に入ってから覚えられても、遅いんで!」 「あーそうだね。善は急げっていう……って! 私まだ入るとは言ってな……あーあ、行っちゃったよ」 彼はその言葉だけを残し、資料室へと戻って行った。 うん、今なら久々知君の言っていた意味がわかる。 確かにツンデレだ。 「三次郎君ね……あ。中等部二年の初めての知り合いか」 そう考えるだけで、友達の輪が広がったような感じ。 私はにまにまと笑いながら家路を急いだ。 「全く、池田も素直じゃないね?」 「何のことですか?」 「はは。これだよ、タカ丸さん」 「でも、池田君らしくて良いと思うよー」 の去った後の資料室。 管理委員会のメンバーは新たに温めた甘酒で、体を温める。 今度はある程度冷ましてから。 「ちゃんは、基本的に中等部の子に優しいからねー。池田君の事、放っておけなかったんだよ」 「本当、三組の皆の言うとおり良い先輩でした! 今度は噂のある先輩の料理食べてみたいです」 伊助が嬉しそうに笑い、久々知がそうだねーと相槌を打つ。 「でも、池田君も賛成しくれて良かったよー。ちゃんが管理委員会に入る事」 「は? 僕はそんな事一言も言ってないですよ?」 「そうなのー? 『普通は両立出来ますよ?』て意味。僕は両立して欲しいに聞こえたんだけどー」 「あ、俺もそう思いました! やっぱりタカ丸さんもそう思ってたんですね」 「な!」 タカ丸と久々知の言葉に、三郎次は赤面する。 「べ、別にそういう意味で言ったんじゃないですよ!」 「そう? でも、態々追いかけて名前教えてたでしょ?」 「火傷の心配をしていただいたのに、名乗らないなんて非常識ですから!」 久々知は必死に笑いを堪える。 本当に素直じゃない後輩だ。 「でも、僕も先輩に入って欲しいです。女の人の先輩ってなんか怖いけど、先輩は違いましたから」 伊助が女子の先輩を怖がるのは無理もない。 なぜかこの学校、気の強い女子が多いのだ。全員が全員と言うわけではないが、半分もそんな生徒がいれば、全体的にそう見えてしまうのはしょうがない。 「まぁ、変わった人ではありましたね。あの先輩」 「そうだねー。でもそれがちゃんの良いところだと思うよー。後輩に優しいところもね」 その言葉に、三郎次は先ほど頭を撫でられた事を思い出す。 とたん、また頬が熱くなるのを感じた。 「だから、違うんだって!!」 その怒りが一体何のかわからず、流石の久々知とタカ丸も唖然としていた。 。 また近いうちに甘酒に誘われるでしょう。 作者より 思わぬところの伏兵。池田がめっちゃ扱いやすかったです。 ツンデレ学年、ブラボー! 何気に主人公を気にしてると良い(笑) 2010.6 竹中歩 |